大会内容

 

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ソリューションフォーカス Day 2020
「SF実践を積み重ねて生み出されるもの」
2020年10月24日(土)
ちよだプラットフォームスクエア(東京都千代田区)
ソリューションフォーカスDAY 2020 当日の様子
ソリューションフォーカス DAY 2020 大会テーマについて

藤沢 さつき

SFベーシックセミナーの最後にいつも参加者の皆さまにお伝えしている事があります。「“SFは実践してなんぼ”ですから、小さな事でも良いので実践してみてください」と。どんな小さな実践も価値ある事です。それを自分にとって意味あるものに育てていけるかは、どの様に振り返って次の一歩を積み重ねていくかが鍵です。

SFの大きな魅力の一つはSFの知識やスキルが習熟していなくても、誰でも直ぐに取り入れていけるところです。SFを知ったばかりの人でも10年以上SFに関わっている人でも同じです。フューチャーパーフェクト・肯定的未来に向かって一歩一歩自分に出来るスモールステップやアクション起こし、小さな変化を大切にしながら積み重ねていった先には様々なものが生み出されます。形ある成果も目には見えない成果や変化も、それはとても素敵な事です。
10+10=20という様な一つだけの方程式や正解がない事もSFの魅力の一つです。20=としたら右辺にはどんな答えが入るでしょうか?無限の答えがあります。SFも同じです。 今大会のテーマ『SF実践を積み重ねて生み出されるもの』は、実践を重ねる事でSF=の右辺を自分なりに見つけて増やしていくことだと考えます。実践したからこそ生み出されることが沢山あります。

今回のご発表者の5人の実践は、SFのスキルやツールや型の様なものを使った事例ではありません。それぞれが置かれた状況や環境や立場の中で、ご自身が描いたFPに向かって必要なSFのエッセンスを取り入れて実践を積み重ねていったリアルな事例です。
日々課題やミッションや目標と向き合っている現場でのSFの取り入れ方に、SFの更なる可能性を感じさせてくれます。生で聴くからこそ多くの事を感じて学び合えます。 皆さんがSF実践を積み重ねた先には、さてどの様なものが生み出されるでしょうか?

渡辺 照子

“実践には価値がある”ことを私たちは知っています。“実践を積み重ねることがそう簡単ではない”ことも、私たちは自覚しています。ではなぜSFの実践が積み重ね難くなるのでしょうか? 実践者はフューチャーパーフェクトの実現に向け、日々の仕事や業務の中で、単に事柄の達成だけを考えているのではなく、事柄の達成のためにも、自分の周りの人とどうするかを考え、行動します。組織の中の人、業務にかかわる人たちは多様で、実践者から見れば、一筋縄ではいかないのです。さらに、自分自身というのも、一筋縄ではいかない存在で、“毎日忙しくて、SF実践だけやっていればいいってわけじゃない” “なんでこうなってしまうの?” “結局自分のやりかたがまずい。自分てダメだな。”とかネガティブさのドツボに時にはまってしまいます。・・・と、このあたりが、SF実践の積み重ね難さの背景かと。

今回発表してくださる3名(組)は、今年SF実践コースを修了された皆さんです。日々の業務の中で、半年以上SFと四つに向き合いました。日々の中で、“難さ”をどのように料理なさったのでしょうか?2名は、実践コースの卒業生ですが、独自に、「一人実践コースと」と銘打って、日々の業務の中に、SF実践を溶け込ませ、どのように面白がったのでしょうか、それをレポートしてくださいます。

実際に実践を積み重ねた方々の発表の中に、私たちが学び、活かすことのできる様々な視点が盛り込まれています。今年は、同一会場で、全員の発表者の発表を、全員のご参加者で学び合う形式をとっています。どうぞ一堂に会して、聞いたり、問うたり、コミュニケーションしたりしながら、共に学びを深め、私たち自身の活用に、幅や深み、思ってもみなかった発想などを加えていきませんか。

共 有 事 例 一 覧
全 体 会 1
「働きやすい職場作り」
福本 翔平氏
フジモリプラケミカル株式会社 名張工場
全 体 会 2
「1人実践コースを続けた変化」
山本 勝之氏
ゆい社会保険労務士事務所
社会保険労務士・社会福祉士
全 体 会 3
「『諦めない』SFアプローチ」
木村 大輔氏
藤吉工業株式会社 東京支社 管理技術課 課長代理
全 体 会 4
「〜『誰か』やって! ではなく、
『俺が』やる!!自己変革 〜」
柴山 彬氏
藤森工業株式会社 横浜事業所 総務課
全 体 会 5
「逆風を前進する力に変える
『つながって解決する』SFマネジメント」
小林 シンイチロウ氏
消費財メーカー マネージャー
働きやすい職場作り
〜“気付く”ということの大切さ〜
福本 翔平氏 福本 翔平氏
フジモリプラケミカル株式会社 名張工場
    SF実践コース第十一期
◆SF実践内容と成果・変化の概要

〈背景〉
私は、主に医薬品の包装材料を製造している工場に勤務しており、生産計画と資材業務を担当しています。生産計画という立場上、現場の作業者とコミュニケーションをとることが多く、その中で、現場の作業者は日々機械を稼働することに追われ、心に余裕がなく、仕事をすることが楽しそうでないように感じていました。まるで職場にモヤがかかっているような状態に思っていました。自分が今いる環境(職場環境)を少しでもいい方向に変えていきたいという思いが強かった私は、このテーマを掲げ、実践に取り組んでいくことを決めました。

〈目指したこと〉
私が初めに目指したことは”想いやりで築く信頼”です。お互いがお互いのことを考え、想いやることで働きやすい、発言しやすい職場になると考えていました。しかし、実践していく中で”想いやり”という部分に違和感を抱き、最終的に”働きやすい職場作り”へと変化しました。信頼関係を築くことはとても大切なことですが、自分が目指すのはもっと広い意味での誰しもが”働きやすい職場”なんだということを感じました。

〈実践・取り組んだこと〉
私の職場には“班長”と“機長”という役割が存在します。文字通りではありますが、機械を稼働し、品質を保つのが機長の役目であり、班員や周りのことを考え仕事が円滑に進むように配慮するのが班長の役割だと考えています。
班長と機長で優先するべきことは違いますが、私が入社してからの7年間ほどはそれぞれの班で機長が班長を兼任していました。私が見る限りではその2つの役割のウェイトは機長:班長=8:2という印象でした。機械を稼働している以上、製品の品質を優先しなくてはならないということがこの状況を作っていたのだと思います。
私は、以前から機長と班長は分けるべきだと考えていました。班長という役割に集中できる環境を作ることで現場の班員の意見を吸い上げやすくなったり、コミュニケーションを密にとることができるようになり、みんなの働きやすさが向上するのでは?と思っていたからです。そこで私は機長と班長を分けるための行動に出たのでした。

〈起きた成果・変化〉
実践していくなかで4つの変化と3つの気付きを得ることができました。
4つの変化
@ ≪班長同士の引き継ぎがより深いものに≫
A ≪以前なら怒られていたが・・・≫
B ≪班長に専念できることで≫
C ≪潜在的に持っていた責任感が≫
3つの気付き
【第一の気付き】〜大事なことは他人を変えることではない〜
【第二の気付き】〜FPを実現するための道は一つではない〜
【第三の気付き】〜プラスの眼鏡の大切さ〜

◆ハイライト
1、特にSFを意識・実践したこと・ところ
プラスの眼鏡をかけることや、小さなリソースにもOKメッセージを出すことを心掛けていました。どれだけ小さくても成功体験を重ねることで人は成長することができます。
2、実践の中で工夫したこと
あまり他人に相談したり悩みを打ち明けたりしないのですが実践中はできる限り自分に素直でいることを意識していました。
3、実践の結果得られた成果や変化などの中から代表的なエピソードを一つ
プラスの眼鏡で職場の人を見るために、職場の人のいいところリストを作成しました。このリストを作成して、自分が周りの人に対してどういうふうに感じているかを再確認できました。 また、自分が正直苦手と思っている人にも、もちろんいいところがあるということに気付きました。嫌なところに行きがちな目をいいところに向けられるきっかけになったように感じ、プラスの眼鏡で見ることの大切さを実感できました。
4、SF実践を重ねる中で、ご自分が得た事・気づき・自分自身の変化や成長
人に悩みを打ち明けたり、相談することで得られた気付きがあります。プラスの眼鏡で人を見ることで得られた気付きがあります。一従業員である自分が行動することで変えられたことがあります。そのどれもが自分にとって宝物であり、成長の証だと思います。
1人実践コースを続けた変化
〜マンスリーレポートの実践とこの時代に活かしたい組織へのSF〜
山本 勝之氏 山本 勝之氏
ゆい社会保険労務士事務所 社会保険労務士・社会福祉士
        SF実践コース第九期
◆SF実践内容と成果・変化の概要

 数年前のSFフォーラムに参加した際、年に1回はSFベーシックとフォーラムを受け直し、SFの知識をブラッシュアップしているというSF実践の先輩の声を聞きました。
 私は実践コースを修了後も、この先輩の考えに共感をし、私もSFプログラムに参加を行ってきました。 2019年1月に実践コース第10期の中間セミナーにオブザーブとして参加した際、実践コース第1期生の小林進一郎さんの「1人実践コースをやってみたい・・・」というお話にヒントを得て、自分が行ったSFの実践を記録することにしました。
 実践コースやSFフォーラムに参加する際には、実践をまとめる機会がありました。地元でもSF勉強会と称して、私が開催したSF関連のセミナーに参加してくださった方と実践報告の場づくりを行っていましたが、度々機会は訪れません。
 そこで、A4用紙1枚に「1人実践コース・マンスリーレポート」として、1か月の間に行ったSF実践での記録、感じたことなどを文書や写真でまとめています。
 レポートにまとめることで得られたことは、忘れがちだったSFでの関わりを増やすことが出来たこと、些細なSF実践でも記録をすると手元に残すことができたことです。そのとき何を考えていたのか、成長したかどうか、実践を振り返る機会が得られています。
 レポートには、スケーリングやスモールステップを記載しています。書き始めた当初は、レポートを作ること、実践を多く残すことをFP(フューチャーパーフェクト)としていました。現在は、自分がSFを使ってかなえたいことをFPに設定しています。
 毎月実践の振り返りの時間をもつことができ、SFでの関わり方を見直し、翌月にSFを試して行動する、自分のSFに対する考え方が変化していく過程が見え、SFを継続して活用できるようになりました。

 私は社会保険労務士として、顧客先の企業の経営者に、人事労務面での相談を受け、助言を行っています。
 この春は、新型コロナウイルス感染症の影響に直面し、SFでのアプローチで問題を解決されていることが周りで多くみられた半面、私自身が企業の経営者から、感染症の影響とは全く関係のない解雇や人材育成での相談を多く受けました。感染症の広まりによる余裕のなさや不安から生じた行動かもしれませんが、組織の中で問題志向が広がることにいくつか直面をしました。
 その際、できないことに目を向けるだけでなく、できていること、できそうなことに目を向けるよう視点を切り替え、経営者や職場の上司がSFで関われるようにアプローチを行いましたが、全てが上手く解決したわけではありませんでした。
 経営者に対してSFで関わった採用後3カ月の従業員への実践、組織内の問題志向から変化した実践を報告します。

◆ハイライト
1、特にSFを意識・実践したこと・ところ
 SFを実践しなければならないという義務感からではなく、SFを使ってみたらどうなるだろうかと、小さく試す実践を行いました。
 実践では、なるべくシンプルにすることを心掛け、SFという言葉を使わなくても、SFの要素を活用することで、関わった人や組織に機能することが実感できました。
2、実践の中で工夫したこと
 実践をまとめる際、SFを使ったことをこまめにメモしていましたが続かず、私の場合は1か月分をレポートとしてまとめた方が、じっくり実践を振り返ることができました。
 SFを使った経営者への助言は、SFの入った小さなことを行っていただくようにしました。
 なぜそのようにするのか具体的な理由をお伝えし、できそうなことを続けていただくよう工夫をしました。
3、実践の結果得られた成果や変化などの中から代表的なエピソードを一つ
 採用後の教育が上手く行かないという職場の上司から経営者に相談がありました。最初上司は、部下のこれができない・あれができない問題に焦点があたり、部下本人も反省が多かったです。
 その様な関わりでは、職場での人間関係が上手くいかないのではと思い、部下から上司に、できたこと、やってみたこと、やってみたいことを報告してもらいました。上司は今まで少なかったOKメッセージを本人へ返すことが増え、具体的な行動のリクエストが生まれました。
4、SF実践を重ねる中で、ご自分が得た事・気づき・自分自身の変化や成長
 実践を記録することで振り返り、行動を見直し修正することで、物事が進み、自分のSF活用が続いていることに気がつきました。
 組織へのSF活用では、ハラスメント防止の観点でも使いこなすにはどうしたらよいかを模索していました。最初は、できていない点に焦点があたったとしても、上司と部下が共有できればほどほどでおいておき、できたことやできそうなことに焦点をあてた関わりに切り替えることで、ハラスメントと感じることなく、本人の能力を引き出す関わりができると思います。
「諦めない」SFアプローチ
〜お互いをよく知り信頼を得るということ〜
木村 大輔氏 木村 大輔氏
藤吉工業株式会社 東京支社 管理技術課 課長代理
      SF実践コース第十一期
◆SF実践内容と成果・変化の概要

〈取り組んだことの背景〉
 現在、私が働いている会社の場所は東京ですが、支社なので少人数(6名)で働いています。以前は8名でしたが転勤や退職等で人数が減ってしまい、一人当たりの仕事量が増え残業することも多くなっていました。もちろん全員が同一の仕事をしている訳ではなく、私を含め排水処理プラントの維持管理をする外勤3名と基本は内勤の3名からなる組織ですので、お互いをフォローすることは難しく不満も持っていたと思います。そういったことを変えたいと思いSFを実践していきました。

〈目指したこと〉
 人数が少ないという利点を生かして全員が仲良くなり、互いに助け合うことで業務の効率化・時短を推進して「気が付いたら仕事が早く終わっている」という、とても明るいフューチャーパーフェクトを目指すことにしました。
 一人で思い悩む様なことが起きないように全員がお互いを思いやる気持ちになること。

〈実践・取り組んだこと〉
 コミュニケーションが取りやすい環境作り・雰囲気作りをちょっと強引なところもありましたが、自ら行いました。また、出来るだけ多く声を掛けて少しでも早く信頼関係が築ける様に心掛けました。
 管理技術課の他2名とは地域が違うのでなかなか会えない為、スマホアプリを利用して毎週決まった時間にコミュニケーションを取りました。
 相手の話をしっかりと聞き、知らない事等が有った場合はその後調べたりして、より深く理解できるように努めて次の機会でもっと深い話が出来るようにしました。

〈起きた成果・変化〉
 仕事やプライベートなことまで色々と深く知ることが出来ました。互いに抱えている仕事内容等を理解し信頼関係が生まれたことによって、先回りして必要道具や書類の準備や、「他に手伝えること有ります?」などの声を掛け合うなどの変化が起きました。皆が早く帰宅出来るようにと全員が協力する風土が出来ました。

◆ハイライト
1、特にSFを意識・実践したこと・ところ
 私はSFスケッチが自身に合っていると感じ何回か書きました。そうすることでスモールステップ・アクションを数多く発見することが出来て、とにかく実行しました。
2、実践の中で工夫したこと
 なかなか仲良くなれない内向的な年上の部下との信頼関係を築くため関わり方を工夫しました。また、誘ったりして断られても「諦めない」どうしたら振り向いてくれるのかをポジティブに考えました。
3、実践の結果得られた成果や変化などの中から代表的なエピソードを一つ
 当社では毎週アンケートを取っております。その中で「あなたが『さすが』と思う人はだれですか?」という直球なアンケートの答えに年上の部下は私の名前を書いてくれました。正直私は嫌われているのかも・・・と思っていましたが認められていたんだと分かりとてもうれしい気持ちになりました。
4、SF実践を重ねる中で、ご自分が得た事・気づき・自分自身の変化や成長
 周りの協力によってフューチャーパーフェクトへ向かうスピードが格段に速くなりました。自分一人だけで目指すのでなく、目指したいことを共有すること、その関わりを持つ方々にSFを理解していただくことによって、より早く、より良い結果や成果が生まれることに気付きました。
 信頼のおける仲間が出来たことで、人生において大きな財産を獲得したと感じています。
5、番外編・・・仕事関連以外でのSF実践
単身赴任中の家庭との関わり方について(更にコロナ禍の東京圏移動自粛要請中)、社会科の苦手な息子(中学一年生)とのエピソード。
 移動自粛解除後に自宅へ帰省し、久しぶりに顔を合わせた妻とのエピソード。(家族WINWIN)
〜「誰か」やって! ではなく、
 「俺が」やる!!自己変革 〜
柴山 彬氏 柴山 彬氏
藤森工業株式会社 横浜事業所 総務課
   SF実践コース第十一期
◆SF実践内容と成果・変化の概要

〈背景・目指したこと〉
2019年度にて当社各事業所間での横通し改善活動「改善ファーム」へ参加し、以下2テーマを約一年間かけて改善活動を行いました。

@ 事業所代表テーマ「リサイクル室のゴミ溢れ改善」
各部署起案テーマから選抜された事業所代表テーマについて、起案部署の代表1名をテーマリーダーとしてチーム分けして、改善活動を行います。
私が参加したテーマ「リサイクル室のゴミ溢れ改善」は、日々製造現場から排出される廃棄物を 受入れる廃棄物保管置場「リサイクル室」がゴミで溢れ返ってしまう状況を改善するテーマです。 ある日メンバー間での言い争いが勃発し、それ以来、打ち合わせに参加するメンバーがどんどん減ってしまいました。
それにより主に活動しているのはテーマリーダーと私の2〜3人のみとなってしまい、現状分析や資料作成、経過報告等をテーマリーダーに代わってやる状況が増えてきました。

A 総務課テーマ「固定資産台帳の整理(分かる化)」
代表テーマに選抜されなかったテーマは、各課内で継続して改善活動を行います。
私が所属する総務課が起案したのは「固定資産台帳の整理(分かる化)」というテーマで、私と経理担当者の計2名が改善活動を行うこととなりました。
しかし、目標達成に向けての期日を決め、役割分担しましたが、経理担当メンバーはこちらから 声掛けしないと、期日が差し迫っても動いてくれず、時には打合せた内容とはかけ離れた作業をしていたこともありました。

以上の2テーマ同時に遂行していく中で、私の中で「なぜ自分ばかり、こんなにも負担がかかるのか…」とモチベーションが下がりつつあった中、上司の薦めもあってSF実践コースに参加することと なりました。

〈実践・取り組んだこと〉
@ 事業所代表テーマ「リサイクル室のゴミ溢れ改善」
リサイクル室の現状に一番詳しいメンバーが一人いました。
言い争いをしてしまい来なくなってしまったメンバーの“Aさん”です。
この方から、意見・アイディアをもらわないと今後のやるべきことが定まらないと思い、私はAさんに話しかけ、「今回の改善活動の進行が行き詰っており、Aさんの意見を伺いたい」「リサイクル室の現状を把握しているAさんの考えでないと進めることが出来ないので、助けてほしい」旨を伝えました。
また、チーム打ち合わせ召集の際、参加メンバーへ自身が手いっぱいの状況で助けてほしい旨を伝えました。

総務課テーマ「固定資産台帳の整理(分かる化)」
出来ていないことに目を向け、ただ相手を否定するのではなく、まずは既に出来ているところを 見るようにして、経理担当者“Bさん”に話すよう心掛けました。

〈起きた成果・変化〉
@ 事業所代表テーマ「リサイクル室のゴミ溢れ改善」
チーム打合せ招集にAさんが参加し、独自に動いてリサイクル室作業者を打ち合わせに呼んでもらい、それにより現在のリサイクル室の具体的な状況とリサイクル室作業者のFPとして「リサイクル室作業者退社時にゴミでいっぱいになったカゴを空きカゴへ差し替えてもらいたい」などをヒアリングすることが出来ました。
また、この時一番うれしかったのは、今後やるべきことに対し、Aさんが自ら自分がやる!と言ってくれたことでした。

総務課テーマ「固定資産台帳の整理(分かる化)」
Bさんは、普段の経理業務で手いっぱいで、本テーマでの作業に集中できないことを素直に伝えてくれ、改めて役割分担等の調整をした後、後日Bさんは期限内に作業を終え、役割分担分とは別に自身で、固定資産の特定状況等の調査を進めてくれました。

◆ハイライト
@特にSFを意識・実践したこと・ところ
話し合いの中でどんなことでも「OKメッセージ」「プラスの眼鏡」を用いて、相手を否定せず かつ出来ているところに目を向けた発言をしました。

A 実践の中で工夫したこと
素直に“あなたの力が必要だ。助けてほしい”という趣旨で会話をすることで、相手からの積極的な意見・行動を促すようにしました。

B 実践の結果得られた成果や変化などの中から代表的なエピソードを一つ
今回のSF実践コースへの参加を機に自分が、「俺が!」、という自発的な気持ちで仕事に向き合えるようになりました。 上司からの命令ではなく、独自に取り組んだこととして、事業所で働く従業員に向けて「共用部への利用について」という社内アンケートを実施し、それまで総務課から従業員へ向けて共用部(職場環境)について広くアンケートを実施したことが無かったとのことから、従業員満足度の向上と・翌年度の活動目標にもなると期待し、また従来の紙媒体ではなく・あまり活用されていなかった社内アンケートツールを用いたことで、短い期間で広く意見を徴収できると見込み実施しました。
結果、およそ1週間のうちに76人の回答をまとめつつ、従業員に向けて集計結果報告をすることが 出来、改善要望が挙がった個所は、即時対応いたしました。

C SF実践を重ねる中で、ご自分が得た事・気づき・自分自身の変化や成長
SF実践コースを受講する前の私は、人に助けを求めるのが苦手で、一人で抱え込みやすい性格でした。 ですが、SF手法を駆使して周りに訴えかけること・或いは自身の頭の整理をすることで自身の行動力を向上させることが出来ました。
また、当初は「〜「誰か」やって! ではなく、「俺が!」「私が!」やる!! 風土へ 〜」と、“周り”を変えたいと訴えかけるようなタイトルでしたが、その為に行動を起こせた、“自分自身”が変わったことに気づくことが出来ましたので〜「誰か」やって! ではなく、「俺が」やる!!自己変革 〜 というタイトルに変更しました。

逆風を前進する力に変える
「つながって解決する」SFマネジメント
〜自分らしいマネジメントを探して〜
小林 シンイチロウ氏 小林 シンイチロウ氏
消費財メーカー マネージャー
  SF実践コース第一期
◆SF実践内容と成果・変化の概要

〈取り組んだことの背景〉
 私はマーケティング部門で五名のメンバーを率いる制作グループのマネージャー。2019年10月のある日、2020年1月から制作グループが営業部門へ異動することに決定した。私は不満を感じながらも受け入れざるを得なかった。しかしメンバーは全員反対だった。それはクリエイティブからセールスへ「落ちる」という感覚、営業部門でこき使われるイメージ、デジタルという慣れない仕事をさせられる不安があったからだ。不運はそれだけに留まらない。異動の決定直前に上司が突然退社。さらにメンバーの一人が異動を拒否し裏切りとも思える勝手な根回しによって残留となった。グループは混乱を極めバラバラになり空中分解寸前。私は怒りと悔しさでいっぱいだったが、感傷に浸っている暇はない。異動前から新部門の本部長や部長から「新部門に必要のない仕事は全て整理してこい」「年末のイベント費用は半分にしてから新部門に引き継げ」「新部門の企画Gと早期に融合しろ」と、いくつも要請があった。私は上層部の要請に必死に対応しながら、一方でメンバーが一人も脱落することなく異動できるようにするためにどうしたらよか考えていた。そのような状況の中、部下育成や組織風土改善で実践していたSFを思い出す機会があり、SFを活用して前向きに取り組むことを決意した。

〈目指したこと〉
2020年1月〜6月
 会社の戦略の根幹となるデジタル化の取り組みに組織として貢献できるようにしたい。そのために、逆風の中でもSFマネジメントでグループメンバーとつながり、他の組織とつながり、協力会社とつながることによって、前進する力に変え、結果として制作グループのメンバーと一緒に成長していきたい。異動先では新しいメンバーと仕事を取り組むことになり、早期に良好なつながりを作っていく必要がある。また各メンバーが新しい仕事を始めれば、余裕がなくなり周囲が見えにくくなる。だから出来るだけ周囲を見渡し、協力を得て(つながって)困難を乗り切り、成果を達成することを意識した。

〈実践・取り組んだこと〉
 間もなく新型コロナウィルスにより市場が大きく急激に変化し、お客様や消費者への緊急対応が頻発。会社も在宅勤務が進み、慣れないリモートワークで仕事が思うように進まなかった一方で、リモートならではのコミュニケーションを利用した。
●グループとのつながりを強化するために、朝会を利用したコミュニケーションで制作グループ内のつながりを強めた。話す内容は雑談。
●リモートになってから始業と就業の業務報告が必須となった。これを活用して各メンバーと業務上のつながりを意識して強めた。
●制作G全員がデジタルの仕事を着手していくプラットフォームに乗るために、先にデジタル業務を経験したCさんに活躍してもらった。
●制作G各人がそれぞれのペースでプラットフォームに乗ることを意識した。

〈起きた成果・変化〉
1.面談の機会を利用して、デジタル業務がどれくらい移行できているかを確認した。同時に少しでも移行できている部分に焦点を当て、増幅させ、自信をもってもらい、デジタル業務移行の促進を働きかけた。その為に7月末の下期目標面談時に、「企画Gとの業務上のつながり」と「デジタル業務への関与」についてメンバーにスケーリングクエスチョンを実施した。

@「企画Gと業務関係が全くない」を1、「業務関係が一方的」が5、「業務関係が協働的」が10としたら、あなたはいくつですか?
A「デジタル業務に関心無し」が1、「デジタル業務を知っている・理解している」が5、「デジタル業務に取り組んでいる」が10としたら、あなたはいくつですか?

すると、Bさんは@3とA2、Cさんは@10とA10、Dさんは@7とA8でした。この半年間、だれも脱落もせず、しかもメンバー各人が各人のペースで前に進んでいたのがとても嬉しかった。

2.昨年まではメンバー同士が陰口を言い合うような雰囲気だったが、グループ内の助け合いが生まれ始めた。

◆ハイライト
1.マネージャーである私が成果を出すために出来合いのマネジメント手法に学びながらも、私にとって違和感がなく後悔しないマネジメントをしたいと考えていました。お節介ではありますが、部下4人のメンバーの仕事だけでなく、人生の領域まで目をくばり、彼らのライフスタイルを守りながら上層部、他部門、取引先、仕事、組織メンバーとどうつながって成果を出すかにこだわりました。

2.計画の作成や計画を守ることにこだわり過ぎずに、実行の中で観察や対話を通して役立つもの(意図したことも偶然のことも)を発見して活用していくアプローチをとりました。なぜなら、環境はどんどん変わっていくので、計画の正しさは直ぐに薄れるからです。

3.部下一人一人にとって役立つことは何でも実行を後押しすることに活用しました。仕事の範囲だけでなく生活全般に領域を広げてリソースの発見に努めました。

@ 特にSFを意識・実践したこと・ところ
1.グループが「安心できるホーム」であることを実感できる場の設定。
2.プラットフォーム(一人一人がその気になる状態)に乗せる。
3.すべきことを強要せず、コミットさせることにこだわらない。
4.代わりに起きたことを観察や対話を通して、どんなに小さくても役立つことを拾い上げる。
5.成果の大きさより意味に着目して成果の兆しや手ざわりを実感させOKメッセージで次ステップへ
6.小さな成果を組織メンバーに広げる。

A 実践の中で工夫したこと(上記1〜6の工夫)
1. リモート朝会の雑談。 2. 一人一人がデジタルの仕事に取り組む機会を捉えながら順番に丁寧に乗せていく。
3. 言うべきことはためらわず言うが、コミットはさせない。
4. 小さな変化を見つけて増幅させる。
5. 小さな変化の意味づけを手伝い労う。
6. 先に成果を出した人をリソースとする。

B 実践の結果得られた成果や変化などの中から代表的なエピソードを一つ
上記6のエピソード。デジタルの仕事を先行して行ったCさんが、メンバーに対して仕事の内容や進め方を共有する勉強会を開いてくれた。それによりメンバーは触れたことのないデジタルの仕事に対してCさんを通じて身近に感じることができ、自分でもやれそうだという感覚をもってくれた。勉強会後すぐにメンバー全員がデジタルの仕事に着手できたわけではないが、各人がデジタルの仕事に取り組む機会がきたときの土台(リソース)になってくれたと思います。

C SF実践を重ねる中で、ご自分が得た事・気づき・自分自身の変化や成長
マネージャーとして上層部から求められる成果にプレッシャーを感じてしまい、自身のグループメンバーに対して強い指示的なコミュニケーションをしたり、求める成果にコミットを求めてしまい、部下と険悪な雰囲気になったことが何度もあった。この経験から指示的なコミュニケーションまでは良いが、無用なコミットややる気の表現は必要無いと感じた。それは、指示に対して良い反応を示そうが、悪い反応を示そうが、言葉が相手に響いているかどうかはわからないからである。

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